ドイツ啓蒙資料集

主に18世紀後半のドイツ関係のもの、特に政治思想・社会思想を中心に。

カント『人倫の形而上学・第二部・徳論』「倫理学的原理論・第一部・自分自身に対する義務について」:序論

岩波全集版『人倫の形而上学』が絶版になって久しく、このカントの倫理学体系上の主著がなかなか手にはいらないのは悲しいことです。 『人倫の形而上学』の第二部は「徳論」で、その「倫理学的原理論」の第一部は「自分自身に対する義務」、第二部は「他人に…

メーザー「フランスの新しい憲法の基礎としての人間の権利について」

Justus Möser, Ueber das Recht der Menschheit, als den Grund der neuen Französischen Konstitution, in Berlinische Monatsschrift 15, 1790, 499-505.メーザー先生は歴史的な根拠に基づく議論をする方なので、いかんせん単語が独特で難しいので、かなり…

シィエスとペインの公開書簡 

毎月ひとつ訳すと自分に誓っていたのに、気付けば三ヶ月くらい間があいてしまっていました。だけどそんなのかんけーねー。 1791年、ルイ16世のヴァレンヌ逃亡事件の直後、トマス・ペインとアベ・シィエスの間で新聞紙上を通じた公開書簡が交わされました。以…

アウグスト・ヴィルヘルム・レーベルク「理論の実践に対する関係について」

August Wilhelm Rehberg, Über das verhältnis der Theorie zur Praxis, in Berlinische Monatsschrift, Bd. 23, 1794, S. 114-143.ググったらスタンフォード大学の哲学辞典に項目があってびっくりしたのですが、それもそのはずドイツ思想史の研究者、フレデ…

クライン「思考の自由と出版の自由について」

エルンスト・フェルディナンド・クライン「思考の自由と出版の自由について。君主、大臣、著述家へ」 Anonym [Ernst Ferdinand Klein], Ueber Denk- und Druckfreiheit. An Fürsten, Minister, und Schriftsteller, in Berlinische Monatsschrift 3, 1784, S…

フンボルト「政体に関する理念――新しいフランス憲法をきっかけとして」

今日取り上げたのは、リベラリズム(あるいはリバタリアニズム)の古典的思想家として(もっぱらミルの賞賛から)有名なヴィルヘルム・フォン・フンボルトです。日本ではフンボルトの政治思想を専門にして研究している方はごくわずかみたいですが、他方でそ…

トムソン「あるイングランド人による市民社会と国家体制の本質と最終目的に関する現在の紛争の考察」

「あるイングランド人による市民社会と国家体制の本質と最終目的に関する現在の紛争の考察」一つ前の記事でビースターが言及していたのが、この記事です。William Thomsonという人物がSamuel Parrに送った書簡の紹介をドイツ語訳したものの翻訳です。ビース…

ビースター「ギリシア人の国制の理念に関するいくつかの報告」

Johann Erich Biester (1749-1816), Einige Nachrichten von den Ideen der Griechen über Staatsverfassung, in Berlinische Monatsschrift Bd. 21, 1793, S. 507-537 (pdf).